毎年3月に甲子園球場で開催される春の選抜高校野球(記念選抜高等学校野球大会)ですが、2024年の第96回大会から大きな変更があります。
高校野球はプロ野球とは違って金属バットを使用していますが、木製バットよりも反発力が高い為本塁打などの長打が出やすいとされています。
その結果打者が打ち返した球が投手に当たって大怪我をする事故も過去に発生しています。
そのような打者有利のプレイ内容を改める為、2024年3月に開催される大会より、今までよりも反発力を抑えた金属バットを使用するようになりました。
その結果、今までより長打がかなり減ると予想されています。
では今まで春の選抜高校野球ではどれくらい本塁打が出ていたのか、過去10年の大会別本塁打総数をまとめてみました。
過去10大会の春の選抜高校野球、大会別本塁打数推移
本塁打数の1大会平均は16.7本
今回2013年から2023年までの過去10大会の本塁打数をまとめてみました。
※2020年の第92回記念選抜高等学校野球大会は新型コロナ蔓延の為中止、集計から除外
その結果、過去10大会で本塁打総数は167本でした。
1試合平均では16.7本で、おおよそ2試合に1本出ている割合になります。
大会別で一番本塁打数が多かったのが2017年の第89回大会、大阪勢同士の決勝戦の結果、大阪桐蔭高校が優勝しました。
特に長打が多かった大会で、当時の大会別通算最多得点、最多安打、最多二塁打を記録しています。
反対に一番本塁打数が少なかったのは2021年の第93回大会、神奈川県の東海大相模高校が優勝しました。
この大会はコロナ感染拡大防止の為、入場者数や応援を制限しながらの開催となりました。
そのような影響もあってか、過去10大会中唯一本塁打総数が10本を下回る結果となっています。
ただし翌年の2022年は本塁打総数は18本と倍増していますので、元に戻った感じでしょうか。
今回導入される飛ばないバットは、練習している野球部員や指導している監督からも、今までよりも明らかにボールが飛ばなくなっているとの声が多数聞かれるようです。
2024年の本塁打数はどうなるのか、注目ですね。
飛ばないバットが導入された理由とは
今回高野連が飛ばないバットを導入した経緯として次のような理由があります。
・投手の無理な練習による肩や肘への負担軽減、怪我防止
・打者有利の野球からバランスを取る為。どうやって点をとるのかという高校野球の本質に戻る為
2019年、夏の甲子園で岡山学芸館の投手が顔面に打球を受け、頬骨を骨折する事故が発生しました。
新基準の金属バットは、素材の厚さを約3ミリから約4ミリに変更し、打球速度を抑えることで投手の安全を確保しています。
また強打者を抑えようと投手の過度な練習も問題にあがっていました。
このような投手の負担を軽減すると同時に、長打や本塁打で点を取る野球から、バントや盗塁、エンドランといった小技を生かした試合展開を促進するという意味もあるようです。
過去には強豪高校が長打者をズラリとそろえた結果、決勝戦にも関わらず10点以上の大差がついたケースもありました。
近年の高校野球は私立高校が無双状態になっており、地方大会はおろか甲子園大会でも大差がついてしまう試合も多くなっています。
このようなどちらかというと大味な試合から、数点を争う接戦となるよう高野連が方針転換したのです。
まとめ
今まで1試合平均16.7本出ていた本塁打数が、2024年からどのように変わるのでしょうか。
少なくとも減少するのは間違いなさそうですが、激減なのか微減なのか、それによって今後の高校野球の在り方も違ってきます。
ファンとしては本塁打が出ても出なくても、熱戦を期待したいですね!