腎臓に重大な影響があり回収騒ぎになっている紅麹を製造したとされる、大阪に本社がある「小林製薬」。
2024年3月29日には社長が出席する記者会見が行われるなど社会的な大問題になっているのですが、小林製薬の公式サイトで発信されているニュースリリースを見てある事実に気づきました。
2024年3月11日のリリースで、健康経営優良法人2024に認定されたとのこと。
回収騒ぎになっている紅麹を利用したサプリで健康被害が続出している現状では本当に皮肉な話ですが、この健康経営優良法人というのは健康な食品やサービスを世の中に提供しているだけでなく、自社で勤務している社員に対しても健康を推進している企業を対象にしたものみたいです。
なので認定された企業には食品会社や製薬会社はもちろん、建設業やサービス業といったありとあらゆる企業が認定されているようです。
経済産業省が認定している制度ですが、あまりにも認定している企業数が多く、ほとんど意味がないように私には思えます。
またそれ以外にもモヤモヤしていることがありまして、、、。
それは株価について。
小林製薬は東証プライムに上場しています。
上場は1999年と比較的新しいのですが、企業としての設立は1919年と100年以上歴史のある会社です。
その小林製薬の株価は今どうなっていると思います?
私の当初の予想ではストップ安続出で半値以下になっているだろうと思っていたんですよ。
小林製薬から紅麹を使ったサプリで健康被害が相次いていることが発表されたのが3月22日(金)。
その時の株価の終値が6056円でした。
それから1週間後の29日(金)の株価はどうなったと思います?
3000円?2000円?
驚くことに1000円ぐらいしか下がってない!
株価は3月27日の4875円を底にして2日連続上がっているという、本当に不思議な現象。
これだけの騒ぎになっていれば会社の存続自体が危ぶまれる事態だと個人的には思っているのですが、市場では小林製薬は全然大丈夫だと捉えられているみたいですね。
ではなぜ小林製薬の株価は上がっているのか。
それは企業体質が超安定しているから。
上場企業の内容を発信している四季報によると、小林製薬の2024年の年間売上予想は約1856億円で経常利益予想は275億円。
利益率が10%を超えていて、それだけでも伸びている会社と判断できます。
さらに特筆すべき点は、有利子負債が0円!
企業としての借金が全く無いというのは経営的にはかなり安定しています。
トヨタ自動車は売上規模が40兆円程ありますが、負債も29兆円程あります。
また2023年に大問題となったビックモーターは、上場こそしていないものの、有利子負債もそれなりにあったので会社の存続が危ぶまれる事態になりました。
小林製薬は借金が0なので、当面の経営には影響はないでしょうね。
更にまだあって、小林製薬の利益剰余金(内部留保)は約2056億円あります!
つまり年間の売上以上の貯蓄がある訳です。
借金が0で内部留保が2000億円。
そのような内容を踏まえて私が何にモヤモヤしているのかというと、、、
小林製薬によると「健康被害の報告が相次いでいたが確認作業に時間がかかった」とのこと。
つまり健康被害の事実自体はかなり前から認識していた訳です。
これだけお金があって安定している会社でさえ身動きが遅いんだったら、もうどうしようもないですよね。
小林製薬は今回の事態について「未知の物質」と発表していましたが、大手の企業でさえ物質を突き止めることがなかなかできない体制なのだと、とても残念な気持ちになりました。
まがりなりにも製薬会社と名乗っているのだから、もうちょっと管理体制や調査体制がしっかりしている会社だと思っていたのですがね。
ちなみに四季報によると小林製薬は家庭用品製造販売が主軸とのこと。
医薬品、健康食品などのニッチ製品開発に定評とあります。
健康食品はニッチだったことにも驚きですが、それで製薬会社と名乗れるんですね。
小林製薬は病院に医薬品を提供している会社ではないのです。
それはそれで会社名(商号)の表記上問題があるんじゃないでしょうかね。
製薬会社が販売している健康食品だから安全だと思って購入した消費者も相当数いるはずです。
でも病院の医薬品は作ったことが無いという事実。
本当に日本の制度も含めてモヤモヤしてしまいますねえ。
今後紅麹原料の何が原因だったのか調査が進められると思いますが、今後健康食品やサプリの制度にもメスが入ることは間違いないでしょう。
結局は体調が悪かったり健康診断に引っかかったら、おとなしく病院に行って医者の診察指示に従うのが賢明なのかもしれません。
みなさんも体調にはご自愛くださいませ。