2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルス。
日本でもマスクが品切れ状態になるなどの影響がでていますが、そもそもいろんな病気を引き起こすウイルスに対する薬というのは、世の中にほとんど無いのが現状です。
普段私たちがひいてしまう風邪の原因の90%はウイルス感染なのですが、このウイルスは200種類以上あるとされており、現在でもその薬はないのです。
私達が風邪薬として飲んでいるあの薬は、熱を下げたりせきを鎮めたりするいわば症状を抑えるための薬であり、風邪のウイルスを直接やっつけている訳ではありません。
そんな世の中のウイルスについて少しでも正しい知識を持っておけば、過度に恐れる必要は無いのです。
ではウイルスの性質とはどのようなもので、もしウイルスに感染してしまったらどうすればいいのか、出来るだけ分かりやすくシンプルにご紹介します。
ポイントは2つです。
①ウイルスをやっつけるには、特定の薬だけしか効果が無く、その薬は世の中にほんのわずかしか存在しない。冬場に発生しやすいノロウイルスの薬もない!
③ウイルス感染したら、対症療法が基本!熱や気分などがあまりにもひどかったら早めに病院へ!高齢者や持病のある人は要注意
参考にした本は、「マンガでわかる 薬のしくみとはたらき辞典(ナツメ社発行)」です。
ウイルスの薬は世の中にほとんど存在しない!その実態と対策とは
ウイルスと細菌は全然違う!抗菌薬をいくら飲んでもウイルスに対しては全く意味が無い
ウイルスと細菌の違いって分かりますか?
細菌はいわば生きた菌であり、人間の体の中に入ると分裂して増殖し、私たちにさまざまな悪影響を与えます。
この悪い細菌の細胞壁の合成を邪魔するのが、抗菌薬(抗生物質)なのです。
代表的な抗生物質の一つに「ペニシリン」がありますが、肺炎や梅毒、全身にばい菌が巡り重症になる敗血症など幅広い感染症に使われています。
反面ウイルスは、細菌よりはるかに小さくて生きているというよりは物質に近いのです。
そのウイルスが人間や動物の細胞に入ると、自分のコピーを沢山つくらせていきます。
ウイルスに乗っ取られた細胞はやがて破裂して、たくさんのウイルスがばらまかれて、私たちの体に影響を与えるのです。
そのウイルスに対しては、細菌には効果的な抗菌薬(抗生物質)は一切効きません。
抗ウイルス薬というものを使用するのですが、代表的なものが帯状疱疹や水痘に対して使用する抗ヘルペスウイルス薬です。
ただこの薬も皮疹出現後一定時間以内に投与されないと効果が無いとされており、早めに病院に行く事が重要なのです。
インフルエンザの治療薬で有名な「タミフル」も、症状発現から48時間以内に投与する必要があるので、注意が必要です。
以前日本脳炎という病気が恐れられていたのですが、これは日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染します。
このウイルスに対しては日本脳炎ワクチンで予防するのが一般的で、ワクチンの効果は90%以上とされています。
そんなウイルスに対抗できる抗ウイルス薬というのは、世の中にほとんど無いのが現状なのです。
風邪を引き起こす200種類以上のウイルスの抗ウイルス薬はありませんし、冬場にウイルス性胃腸炎を引き起こすノロウイルスの抗ウイルス薬もありません。
ウイルス感染したら結局は栄養を適度に取って休むのが一番、症状が重い場合病院へ!
ウイルスを直接やっつける薬がほとんど無い事が分かった上で、では私たちはどうすればいいのでしょうか。
発熱でも、その原因が風邪なのかインフルエンザウイルスによるものかで症状の重さが違ってきます。
熱や咳など症状は一緒の事も多いですが、インフルエンザの主な症状は39℃以上の高熱や強い寒気や関節痛になるなど、動く事が困難になる程なのです。
ただしインフルエンザに感染した場合、健康な人ならインフルエンザの治療薬は必要なくて、栄養と摂って寝ていれば自然と治ります。
ただこれは、「健康な人なら」という前提がついているんですよ。
持病がある人や高齢者や子供など、体が弱い人は健康な大人と比較すると、症状が悪化するリスクはどうしても高くなってしまいます。
そうなる前に早めに病院に行って、解熱剤や咳止めを用意しておく事が肝心なのです。
ノロウイルスにはワクチンすらありませんので、予防として手洗いが重要です。
もし感染してしまった場合の主な症状ははき気、おう吐及び下痢ですが、元々他の病気があったり、大きく体力が低下している等がなければ、重症になって長い間入院しないといけないということはまずありません(国立感染症情報センターより)
中国で新型肺炎の犠牲者がどんどん増えていますが、これは新型コロナウイルスに感染して発症しているにもかかわらず、適切な処置や薬を処方してもらえずに亡くなっている人が多いという事でしょう。
中国で過去に病院に行った事のある方のブログをいろいろネットでググってみると、ひたすら点滴されてあとは漢方薬で!とか外国人用の病院は綺麗だけどそれ以外の病院がひどい!とか、日本では考えられない病院事情みたいですね。
ある方は映画の野戦病院のようだったとも語っていますが、これは新型肺炎が流行するずっと以前の話なのです。
新型コロナウイルスの感染拡大は日本でも決して他人事ではないのですが、国内では必要以上に恐れる必要は全くないと私自身は思っています。
通常の感染症対策と一緒で、手洗い・うがいの徹底と、症状が重症化しそうだったら速やかに病院に行きましょう。