今愛媛県で物議を醸している話題があります。
それが、「愛媛県民はまじめ」であるという事です。
なぜこの話題が物議になっているのかというと、県がプロジェクトとしてお金や時間をかけてPRしているからです。
県庁内に「まじめ課」を新設して、動画やイベントなどを通して愛媛県の魅力を全国に伝えるのが目的なんだそうですが・・。
900万円をかけて制作した愛媛の魅力とやらを伝える動画がこちらです☟
動画では、愛媛のゆるキャラ「みきゃん」が地元開催のゆるキャラグランプリ出場を自ら辞退した事や、お一人様の女性に人気の温泉地ランキングで道後温泉が1位になった事を挙げています。
また民間の調査で「彼氏が居ない独身女性」が、全国で愛媛県が一番多い事も「まじめ」の理由として挙げられています。
これに対して、11月に全国フェミニスト議員連盟が中村知事宛てにプロジェクトに対する抗議と中止の要望書を提出しています。
更に12月、武井議員が県議会で動画配信中止を求めています。
県によると動画は年度末までに50本出す予定で、今後も長期的にプロジェクトを推進していくと表明しています。
県としてこのプロジェクトを中止するつもりは、今の所一切ないようです。
愛媛県人の私から見れば、愛媛県の人が他県と比較してまじめであるとは全く思わないですね。
ただ、私たちの税金まで投入してこのような動画やプロジェクトを進める必要があるのかどうかすごく疑問なのです。
今回は、本当に愛媛県人はまじめなのか、他の調査結果なども参考にしながら私なりの結論を出したいと思います。
また、県が進めているプロジェクト「まじめえひめ」についても触れたいと思います。
【2020年1月28日追記】
愛媛県のプロジェクト「まじめえひめ」を真面目に考えてみる
アンケート結果から愛媛県民性を考える
さすがに動画内で指摘している調査結果だけでは全く納得できないので、他の調査結果も見てみることにしました。
参考にした書籍は、「ケンミンまるごと大調査」です。
まずは、愛媛県男性の結果からです。
ベスト部門(47都道府県中の順位) | ワースト部門(47都道府県中の順位) |
人間関係は狭く&深く(1位) | 人の遅刻やミスを許せる(47位) |
ストレスは溜め込む方である(1位) | 人の話には共感できる方だ(47位) |
故郷でずっと生活したい(2位) | 他人の成長を喜ぶことができる(46位) |
これからの自分の人生は暗いと思う(3位) | ハメを外して盛り上がることがある(46位) |
言いすぎて後悔することがある(4位) | 人を良く誉める(46位) |
恋人が全くできそうにない(5位) |
ランキングを見てみると、愛媛の男性は内向きな消極的な傾向が強いようです。
他人の言動が気になるのと、繊細な事もあってストレスも溜め込みやすいようです。
更に他人の言動に共感できない事も多いようで、ますますストレスがたまる原因となっています。
次に愛媛県女性の結果です。
ベスト部門(47都道府県中の順位) | ワースト部門(47都道府県中の順位) |
人の話で怒ることはあまりない(1位) | 恋愛は自由にするのが好きだ(47位) |
転職はしたくない(3位) | 恋人との関係は上手くいっている(47位) |
自分は感情的より理性的な方だ(3位) | 異性に対する興味が強い方だ(46位) |
いつもムダな努力ばかりしている(3位) | 好きな人には尽くしたい(46位) |
疑問な点を放っておけない(3位) | 人の言葉や態度を気にする(45位) |
びっくりするくらい、恋愛に対してネガティブな結果が並んでしまいました。
それも理性的に行動しているという理由からなのでしょうかね。
この調査結果を見ると、彼氏が居ない独身女性が愛媛に多いのも少し頷けるような気もします。
50歳時未婚率で比較してみると、意外な結果が!
では、50歳時の未婚割合を示す「50歳時未婚率」で比較してみましょう。
(以前は生涯未婚率と呼ばれていましたが、このブログでは政府見解も踏まえて50歳時未婚率と表現します)
ちなみに全国平均では男性の場合は23.4%、女性の場合は14.1%となっています。
データは、人口統計資料集2018年度版からです。
男性50歳時未婚率(高い順) | 女性50歳時未婚率(高い順) |
1位:沖縄(26.20%) | 1位:東京(19.20%) |
2位:岩手(26.16%) | 2位:北海道(17.22%) |
3位:東京(26.06%) | 3位:大阪(16.5%) |
4位:新潟(25.15%) | 4位:高知(16.48%) |
28位:愛媛(22.46%) | 10位:愛媛(14.58%) |
思ったより愛媛男性の未婚率が低いんですよね。
愛媛県の男性と女性で、未婚率の順位に差があるのが注目すべきポイントです。
女性に関しても平均よりは未婚率は高いのですが、突出して高い訳でもありません。
どうやら彼氏彼女が居るのと、未婚率との関係はあまりないような気がします。
愛媛県男性の性格は、東京ラブストーリーのカンチを見れば分かる
トレンディドラマの代名詞と言えば、1991年にフジテレビで放送された「東京ラブストーリー」☟
平均視聴率が22.9%、最高視聴率(最終回)が32.3%の大ヒットドラマです。
このドラマの主人公、永尾完治(以下カンチ)が愛媛県出身の設定なのですが、当時ドラマをリアルタイムで見ていた人は、このカンチの煮え切らない態度にすごくイライラした人も多いかと思います(笑)。
同僚の赤名リカと仲良くなったかと思えば、いつまで経っても昔片思いだった人の事を忘れられず・・・。
そのままズルズルと時間が経過していき、結局学生時代に片思いだった人と結ばれるというストーリーです。
この時にカンチを演じた織田裕二さんは、この時のカンチのイメージを払拭する為これ以降熱血役を演じる事を意識したとかしないとか・・・。
ドラマではすごくやきもきさせられたカンチの態度や行動ですが、私はこのカンチの事をすごく親近感がもてました。
まさに愛媛県の男性そのものだったんですよ。
もちろん愛媛県の男性全員がカンチのような性格ではないんですが、カンチの出身地である愛媛県南予地方の男性の特徴を的確に表現していると思いました。
そのカンチを見て、まじめだな~と思う人がどれだけ居るでしょうか・・・。
優柔不断だなと思う人の方が多いんじゃないでしょうかね。
人によって「まじめ」の定義はさまざまなのだが・・・
広辞苑によれば、「まじめ」とは次のように定義されています。
②まごころがこもっていること。誠実なこと。
冒頭に紹介した動画内で、彼氏が居ない独身女性が多いから愛媛県人はまじめである!とあります。
確かに若者の未婚化・晩婚化は社会問題化になっていますが、これは愛媛県に限った話ではありません。
更にこういう個人のプライベートや価値観に関わる話題は、賛否両論があって当然なのです
そこに○○は○○だ!と決めつけるのは、現代では最も嫌われる事なんですよね。
しかもそれを推進しているのが県の組織なんだからなおさらですね。
広辞苑の定義から考えると、人間だれでも真剣になる時はありますし、本気で取り組む事だってあるでしょう。
それに今と昔では、「まじめ」という語句に対するイメージが違うような気がするのです。
「寡黙」という言葉があります。
寡黙とは、言葉数が少ないこと。ほとんど物を言わないことを指しています。
職人さんのようなイメージなんですが、昔の日本ではそういう寡黙という言葉に対して良い意味で使われていました。
ただし、今は「寡黙」という言葉自体耳にする事が滅多にありません。
逆に自分からどんどんアピールしたり、自分の長所を生かすようにと言われる事が普通になってきています。
何も喋らず黙々と仕事をしたり行動するだけでは、評価されない時代なのです。
この「寡黙」と「まじめ」は、私は同じような意味で捉えているんですよ。
これからの時代、「まじめ」だけでなく時には大きな枠から外れて突拍子もない事にも意味があるかもしれません。
そういう「まじめ」では無い人だからこそ、出来る事も沢山あるはずなのです。
まじめだから良いという価値観も、なんだか古いな~と感じるのは私だけでしょうかね。
勘違いしてほしくないのですが、もちろん「まじめな人」にできる事だって沢山あります。
まじめな人もまじめでない人にもいろいろな可能性があります。
言葉一つとっても、受け取る人によって良いイメージと悪いイメージ全く違う意味に感じられるのです。
愛媛県内でも異論の声があがっている
この愛媛県が推進しているまじめえひめですが、県内でも徐々におかしい!という声があがってきました。
12月14日には、武井県議ら8人が呼びかけ人となって、松山で集会が開催されています。
集まった人の中には、「まじめという言葉が普遍的にすばらしいとは限らず、マイナスのイメージもある。県から県民はまじめだと言われたくない」との事。
せめて愛媛のまじめなジュースぐらいだったら、良かったかもしれないんですがね☟
民間団体が中心となって活動するプロジェクトならともかく、県や国が推進するプロジェクトは少しズレたようなものばかりが目立つような気がしています
(国が推進する活動で、プレミアムフライデーなるモノがありましたね)
みなさんは、まじめえひめについてどう思いますか?
今後もブログ内にてまじめえひめプロジェクトに何か動きがあれば、お伝えしていこうと思います。
2020年1月23日追記
愛媛県は22日、第2ステージとしてスポーツをテーマにした新展開を発表しました。
スポーツを支え、応援する人に焦点を当てたコンセプト動画配信や公式ホームページの更新、「まじめえひめ賞」の創設などを行うそうです。
それらの予算として約700万円かかるとのこと。
一部から批判を浴びた「まじめえひめプロジェクト」の会議動画は、公式ホームページからは削除されましたが、動画投稿サイトへのリンクは残っているようです。
愛媛県の中村知事は新事業の発表会見で、「いろいろな意見があってよいと思う。むしろそういったことで再生回数も上がり認知度アップにつながる」と述べました。
民間がやるならともかく、税金を使って炎上的な行為を狙うのは私個人的にはすごく疑問に思うところです・・・。
このまじめえひめプロジェクトは全国的に認知度は高くないので、全国のみなさんはそこまで愛媛に対して深く思っていないというのが実情でしょうね(笑)。
今後も何か動きがありましたら、ご報告させて頂きます。
はたして知事の望み通り炎上するのか、このまま全国的に知られる事なく終わってしまうのか、誰にも分かりませんっ!
2020年1月28日追記
愛媛県は、一部から指摘されている「問題動画」を3月末で配信終了することを明らかにしました。
取材に対して「昨年の公開時点で、1年間の配信と決めていた」と説明し、県内外から上がっていた一連の批判とは無関係としています。
まあどちらにしても、早めに動画配信を終了したのは妥当な判断だと思いますよ。
炎上してしまったら、イメージアップどころか「愛媛県はこんなくだらない動画を一生懸命宣伝しているのか?」となりかねませんからね。
「まじめえひめ」プロジェクトを巡る問題は、一つの区切りとなりそうです。