2022年7月8日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。
そしてその日の夕方、救急搬送されていた奈良県立医科大付属病院で死亡が確認されました。
奈良市の山上徹也容疑者(41)がその場で取り押さえられました。
手製のショットガンのようなもので狙った様子が動画に録画されていて、選挙日まであと2日という週末の金曜日の出来事でした。
今回救急搬送された奈良県立医科大付属病院が夕方記者会見を行っていましたが、その会見中に明らかになったことがいくつかあります。
記者からの質問には専門的な医療に関する質問があまり無かったんですが、では可能性の問題としてドラマのような世界一の名医だったら安倍元首相の命は救えたのでしょうか?
その3つの理由をご紹介していきます。
大門未知子でも手の施しようがなかった今回の事態
輸血量100単位は1日の限界量の50倍相当
銃弾による怪我で一番恐ろしいのが出血です。
時速1500km/h以上というとんでもないスピードで飛んでくる銃弾を生身の体一つで受け止めるのですから、そのダメージは計り知れません。
今回安倍元首相が受けた銃弾は心臓まで達していて、穴も開いていたことから、銃撃を受けた直後から相当の出血があったものと思われます。
出血量が多い場合病院では直ちに輸血が行われます。
輸血をしながら傷口を塞いでいくのが通常ですが、出血が止まらないと傷口を特定するのが困難になります。
今回この病院では100単位以上の輸血が実施されたそうです。
輸血の1単位は200mlですから、量にして20L以上!
一般的な血液量は1kg当たり80mlとされています。
体重60kgの人だと、だいたい4800ml(4.8L)ですね。
2Lペットボトル2本と半分くらいで、意外と少ないなと感じたのは私だけではないはず。
そして安倍元首相が受けた輸血量が20L。
全身の血液量の4倍を超える輸血が行われたのです。
はっきり言ってしまえば、大量出血レベルだったのです。
そしてもう一つポイントがあって、普通の人間が1日に輸血を受けられる最大量はせいぜい400mlぐらいなんですよ。
これは日本赤十字社、血液事業本部が公開している輸血情報にも記載があります☟
※【血液製剤の使用指針(改定版) -赤血球濃厚液-】より
輸血する血液は元は他人の血液。
輸血を受ける側と成分が全く同じではありませんし、そもそも体に別の血液を入れる事が体に大きな負担となります。
今回のような銃撃を受けて大量出血という不測の事態には400mlを超える量の輸血を施しますが、今回その量が20000mlということで、いかに通常とはかけ離れた輸血量だったということが分かるのです。
集中治療室に入れなかったという処置
私も当日の病院の記者会見を見ていましたが、治療を担当した救急医学・福島英賢教授によると、安倍元首相は集中治療室には入れなかったということでした。
最初のニュース報道では集中治療室で治療を受けているとの報道があって、命は助かるかもしれないというニュアンスだったのですが、実際には違ったようです。
命の危機が迫った時に病院の集中治療室で手術を受ける光景などはドラマなどで見かけますが、今回の場合出血量があまりにも多すぎました。
集中治療室で治療を行うレベルにまで出血を止めることができなかった(担当の先生は出血をコントロールできなかったと会見)ということでしょう。
病院に着いた時には心肺停止状態、実際には手の施しようはほぼなかったぐらいの体の損傷具合だったのでしょう。
輸血を途中で止めることができない病院の事情
今回銃撃を受けた安倍元首相が病院に搬送されたのが12時20分。
そして17時3分に亡くなったと病院が発表しています。
夫人の安倍昭恵さんが病院に到着したのが16時55分。
夫人が到着してから8分後に死亡が発表されました。
今回安倍元首相が病院に搬送された時点で大量出血の心配停止状態。
なぜなら途中で治療行為を止めることは、場合によっては殺人となってしまうからです。
現代の延命治療がいろいろ問題になっている通り、一度何らかの治療をはじめると簡単に止めることができないのが現在の日本の医療の現状なのです。
なので今回の安倍元首相も大量出血で意識は無く、助かる見込みはなかったのですが、夫人の到着を待って輸血をひたすら受けていたのでしょう。
そして夫人の同意をもらって死亡を発表したという流れだったのです。
この安倍元首相が亡くなった件について、ジャーナリストの山口敬之氏がフライング気味の発信をフェイスブックでやっていたようで、批判を浴びているようです。
確かに手の施しようがなかったことは事実でしょうが、今昭恵夫人が病院に向かっているのですから、それを待ってあげてもよかったんじゃないでしょうか。
リスク管理という概念が無い日本、防弾チョッキは必需品になるかも
今回護衛の警察やSPが全く役に立たなかったことがSNSなどで非難されています。
ただあえて擁護するとすれば、日本ではそもそも銃撃を想定した護衛ではないんですよね。
世界各地で発生しているテロ事件ですが、日本でもまれにテロに備えた訓練活動が報道されることがあります。
ただその訓練内容を見ても、暴れる犯人を「さすまた」などで取り押さえるなど、何か昭和を彷彿とさせるイメージは否めません☟
高尾警察署と合同で防犯訓練を実施いたしました。
「ケーブルカー車内で刃物を振り回す犯人を制圧する訓練」と「さすまたの使用方法についての講習」を受けました。
ご指導いただいた高尾警察署の皆様に感謝いたします。
また、この時間にご利用くださいましたお客様、ご協力ありがとうございました。 pic.twitter.com/qwWrYybyr1— 高尾山ケーブルカー【公式】 (@Takao_Tozan) December 22, 2021
【小田急電鉄】無差別殺傷事件を想定、新宿駅構内で警視庁と合同訓練https://t.co/7t73PWUIdi
同社と警視庁が連携して刃物の使用を想定した訓練を行うのは初めて。駅員の通報で駆け付けた新宿署員5人が防護盾と刺股(さすまた)を使って制圧し、身柄を確保するまでの一連の手順を確認した。 pic.twitter.com/CVbtNROnOg
— ライブドアニュース (@livedoornews) September 17, 2021
刃物を持って暴れる犯人を取り押さえるのなら警察数人が「さすまた」でも十分でしょうが、今回のようにたった一人で銃撃してくる犯人に対しては何の意味もないことが分かってしまいました。
ちなみにアメリカでは、政治家が演説中に防弾チョッキを着ることは当たり前ではないようですが、少なくとも防弾ガラスや防弾カーテンのようなものを会場に設置しているようです。
今回の安倍元首相が銃撃された事件、さまざまな人がツイートしていますが、フランスに居住しているひろゆき氏もコメントを出しています。
無敵の人に対しては社会はどうすることもできないというのが、ひろゆき氏の持論です☟
米、仏の政治家の警備に比べると、日本の政治家はフレンドリーで良いと思ってましたが、日本も同じになってきたのかも。
社会に疎外されたと感じる日本人の多くは自殺を選んできたけど、他殺を選ぶ人が増えるという悪い予想が当たってしまってる昨今。
そろそろ、蔑ろにされた人々に向き合うべきかと。 https://t.co/7UivbeZtJe— ひろゆき (@hirox246) July 8, 2022
私としては、社会的弱者の政策も大切ですし、それと同時にリスク管理や危機管理の意識ももっと上げていく必要があるでしょうね。
社会的弱者を救う政策は時間がかかります。
即効性のある手立てではないんですよね。
一方、護衛側の対策は即効性があります。
警備体制の見直しや犯人を取り押さえる方法の強化。
日本に突き付けられた新たな課題です。
ちなみに2021年アメリカで銃により亡くなった人は20803人。
1日当たり57人。
それに対して日本は銃発砲による事件そのものが10件。
亡くなった人は年間で1人。
日米でこれだけ違いがあるのでリスク管理を同じようにするのは無理とは思いますが、それでも今までとは違う対策が求められています。
以上「凶弾に倒れた安倍元首相、仮にドクターX大門未知子なら命は救えたのか?」でした。