現代において結婚する男女の割合がかなり増えていますが、その一因とされているのが子供を育てるお金がどんどん高くなっていることが挙げられています。
内閣府の「インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、衣服代や食費などの養育費を合わせた教育費総額は、0歳から大学卒業までの22歳までで3000万円以上かかるという結果が出ています。
もちろん子供の進学先が公立か私立か、一人暮らしか実家暮らしかなどで大きく変わるのですが、ざっくりとした計算でもこれぐらい子育てにはお金がかかるのです。
子供が生まれると女性は退職したり職場を変えたりして、子育て中心の生活になります。
つまり本来社会人としてバリバリ働いて稼ぐ機会があるにもかかわらず、その機会を生かすことができないのです。
その機会損失期間を仮に子供が高校卒業までの18年間として計算すると、教育費と合わせて6000万円以上の金額がかかっていることになるのです(約100万円以内の扶養内で働いていた場合の計算)。
これが仮に専業主婦だった場合、ケースによっては教育費と合わせて1億円以上のお金を損している場合もあるのです。
これは富裕層の話などではなく、ごく一般家庭のお話なのです。
このブログでは教育費と機会損失額を細かく見ることにより、現代の子育てに関するお金事情を見たいと思います。
なお最初にお断りしておきますが、私は子育てにこれだけ莫大な金額がかかるから結婚はおススメしないとか子供が居ない方が良いなどという指摘ではありません。
子供を育てるにはこれぐらいの金額が動くという事実を、特に既婚男性の方に知って欲しいのです。
本来女性が働いて得られたであろう社会経験や、お金を得る機会を失っているという考え方もあるんだよということを。
教育費だけで見ると決して分からない、機会損失込みの総額で見ると男性陣の方も少し考えてしまうのではないでしょうか。
では教育費から順に見ていきましょう!
このブログで計算している額は、かなり大まかな数字を無理やり計算しています
また年収で計算していますが、手取額となると実際は少なくなってしまいます。
ここが違うとかこの部分がおかしい!という真面目な突っ込みはご勘弁下さい
教育費だけじゃない、子供を育てるのにかかる本当の金額とは?
私立か公立か大きく違う費用
内閣府が発表した内容によると、子供を育てるのに必要なお金は大きく分けて3つになります。
養育費 | 衣類、食費、生活用品、医療費、保育所や幼稚園に関する費用 |
教育費 | 小学校以降の費用、給食費、学級費、修学旅行費、通学費、塾代 |
教育関連費 | 通信料、おこづかい、お祝い行事関連費、レジャー旅行費 |
教育費と言われると学校に通う為のお金や塾代ぐらいをざっと思い浮かべるのですが、細かく挙げるときりがないぐらいさまざまな費用がかかることになります。
そして0歳から大学卒業までの22年間でざっくり計算するとこのようになります☟
大学卒業まで公立 | 26,944,882円 |
大学卒業まで私立 | 40,219,462円 |
※文部科学省「学校基本調査報告書」「国公私立大学の授業料等の推移」、内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査報告書」、独立行政法人日本学生支援機構「学生生活調査」より
ちなみに22年間で計算すると、子供1人当たりの食費だけで700万円ほどかかっています。
本当に大まかな概算ですが、子供を育てるにはこれだけのお金がかかっているということです。
しかし子供を育てるにはこれらのお金を用意すればいい、という単純な問題ではないのです。
既婚女性の機会損失はかなりの額だった
機会損失とは「意思決定にあたって2つ以上の案があった場合, そのうちの1つを採用し, 他を不採用にした場合に, 得ることができなかった収益または利益の最大のものをいいます」(デジタル大辞泉より)
これを子育てに当てはめてみると、既婚女性が社会人として働くことによって得られていた収入が、子供が生まれることにより退職又は転職などして収入が減った場合、この減った分が機会損失になります。
夫の扶養内で働いたり103万円の壁と呼ばれている収入調整をする場合もこれに該当します。
この機会損失の額を細かく計算することは難しいのですが、ざっくりとした額を算出してみましょう。
子育て世代である30代女性の平均年収と、子供が生まれて夫の扶養内で働く為に年収を100万円程度に抑えた場合の金額を、子供が高校を卒業する18歳までの18年間で計算してみます。
30代女性平均年収 | 315万円 | 5670万円(18年間総額) |
夫の扶養内で働く場合 | 100万円 | 1800万円 |
差額 | 3870万円 |
※30代女性平均年収は国税庁調査結果より
30代女性の平均年収を18年間で無理やり計算していますが、差額が3870万円となりました。
先に計算した教育費と合わせると、18年間の額は約6,564,882円~78,919,562円となります。
ちなみにこれは主婦が18年間夫の扶養内で100万円の年収を得ているケースですよ。
現代社会において夫婦共働き世帯が多数派を占めるようになっていますが、夫の扶養内で働いている家庭も多いのではないでしょうか。
更にこれが専業主婦となると更に金額が跳ね上がることになります。
子育て世帯で専業主婦だと1億円の損??
30代女性の平均年収は315万円で、18年間だと5670万円になります。
専業主婦の場合だとこれが全額機会損失額となります。
更に最初に計算した教育費と合わせると、、☟
大学卒業まで公立 (18年間専業主婦) | 83,644,882円 |
大学卒業まで私立 | 96,919,462円 |
大学卒業まで教育費のかかる私立系に子供が進んだ場合、計算式によっては1億円近い額が損失額となるケースがあります。
もちろん教育費込みですのでこれを損失額で合算することは少しおかしいと思うのですが、あくまでも合計額としての1億円ですよ。
現代で子供を育てるということは、これぐらいのお金が動いているということなのです。
ちなみにこれが子供が数人になると更に金額は増えるでしょうから、機会損失額も含めると1億円以上となる場合もあるでしょう。
一般的な家庭の話なのです!
お金がかかるから結婚しないという選択肢は非常に残念な思考
ではこれを踏まえて私たちはこれからどう考えて行動していけばいいのでしょうか?
最近は無駄な事にお金をかける事が嫌われる傾向にあり、コスパとかミニマリストなどという言葉が当たり前になってきました。
私はこういう傾向を別に非難する訳ではありませんが、私達はさまざまな価値観を持って人生をおくっています。
当然お金を貯めるのが好きな人も居るでしょうし、必要なものにはお金を使いたい!という人もいるでしょう。
そういう個人の価値観はとても大切にしていきたいし、まして他人が口出しする事はあえてする必要は全く無いと思います。
これが家族とか親友というごく親しい間柄でしたらちょっと話をする機会はあるかもしれません。
そういう本当に親しい間柄で話を聞く時の根拠や、こういう考え方もあるんだというネタになってもらえればと思い、この記事を執筆しました。
私が伝えたかったことは、本来日本の女性はこれぐらい社会で働いて活躍したり稼げるポテンシャルがあるということなのです。
残念ながら日本において同じ職業職場でも女性は男性より年収が明らかに低い傾向にあります。
もちろんこのことも改善してほしいのですが、現在子育てしている家庭で子供の為に仕事を調整している主婦は、これだけの金額をある意味犠牲にしながら生活しているのです。
それを日本の男性にまず分かって欲しいです。
教育費は俺が稼ぐとか、夫の年収が高いから妻はほとんど働かなくても大丈夫とか、そういう問題ではないのです。
教育費だけの話となると、何を節約したらいいかとか何年貯蓄していけばいいかというマネープランの話になりますが、1億円のお金となると次元が違います。
コツコツ節約したぐらいでは1億円は貯まらないでしょう。
もちろん絶対貯めなければいけないという話でもないのですが、この現実を家庭で見つめて家族としてどう歩んでいくのかを考えていくのが、夫婦お互いを理解していくという事なのではないでしょうか。
お金がかかるからどうしようと悲観的に捉えるのか、お金がかかるからどうすればいいと前向きに考えるのか、選択するのはあなた自身です!
以上「子供が居る専業主婦は総額1億円以上の損?教育費以上に発生する機会損失込みの驚きの金額とは?」でした。