これは平成29年度文科省公表資料の中の、小学校の不登校児童数と全児童数に占める割合をグラフ化したものです。
ここ数年で不登校児童数と割合共に過去最高を更新し続けています。
同じく平成29年度文科省公表資料中学校の不登校生徒数と全生徒数に占める割合のグラフはこちらになります。
小学校の不登校と同様、ここ数年増加傾向にあります。
なお少子化の影響で、調査年度毎の不登校児童数や生徒数の比較は単純には出来ないのが現状です。
平成29年度の学年別不登校児童生徒数のグラフになります。
小6から中1にかけての不登校生徒数の伸びが著しく、単純比較はできませんが小学生から中学生になる1年間で約1.5倍以上の不登校生徒が新たに発生している事になります。
また小1から中3の間で、不登校数が最も増えているのも小6から中1のあいだという事になります。
ちなみに中1ギャップに関しては、文部科学省所轄の教育に関する総合的な政策研究機関である「国立教育政策研究所」が否定的な見解を示しているようです。
「中1ギャップ」の真実という生徒指導リーフを作成しており、その中で次のように解説されています。
国立教育政策研究所の見解
・「中1ギャップ」という語に明確な定義はなく、その前提となっている事実認識(いじめ・不登校の急増)も客観的事実とは言い切れない
・「中1ギャップ」に限らず、便利な用語を安易に用いることで思考を停止し、 根拠を確認しないままの議論を進めたり広めたりしてはならない
これをどう受け止めるかは人それぞれでしょうが、では文科省含む国の機関が小中学校の現実をきちんと認識しているのでしょうか?
いじめひとつとってみても、学校や教育委員会の対応が問題になっている報道が連日のようにあります。
そのような現状でありながら、いじめや不登校の急増も客観的事実とは言い切れない!んだそうです。
文科省の研究所がこういう見解を出してしまう事が、閉鎖的な教育環境を生み出している一因となってるのは間違いなさそうです。
こういう国や関係機関の政策の現状を考えると、結局子供を守ってあげる事ができるのは一番身近に居る親なんだなと感じさせられます。
以前転校をきっかけに不登校気味になった我が子と、どう向き合ったかを具体的事例として紹介していますのでこちらもぜひどうぞ
目次子どもが不登校気味になった時に家庭で実践してみた事
私の家庭には現在中2になる子供が居ますが、2年間ぐらい前に小学校に行きたくないと言っていた時期がありました。 最終的には不登校になる事はありませんでしたが、当時は不登校になっていても全く不思議ではない状態でした。 今回はその当時の状況を振り返ってみて、子供が学校に行きたくないと言い出した当時の状況と我が家で具体的に行動した内容をご紹介したいと思います。 …
小学校と中学校の違い
小6から中1にかけて、不登校生徒数がどの年代よりも増加している現実から見ても、この1年間で子供にとって心身的にストレスや負担に感じる事が多く発生しているのは間違いないでしょう。
ではその負担はどこから生じているのでしょうか?
まず、小学校と中学校の違いを見てみましょう
小学校 | 中学校 | |
授業 | 45分、基本的に一人の担任が教える | 50分~60分、教科別に分かれている |
テスト | 小テストや復習テストが中心。偏差値や順位が出ない | 中間・期末テストが定期的にあり、偏差値や順位が出る事も |
部活 | クラブ活動があるが月に数回程度の実施 | 部活により活動内容・周期は多様。加入は任意だが半強制の学校も。 顧問が経験者とは限らず、教員の時間外勤務の多さから外部指導員の導入を国が随時導入予定 |
体の変化 | 早い場合高学年で思春期がはじまる | 思春期で情緒不安定、イライラする事も多い |
将来なりたい職業 | 男子:1位サッカー選手 2位ネット配信者(You Tuber等) 女子:1位パティシエ 2位看護士 (2018年学研調べ) | 男子:1位ITエンジニア・プログラマー 2位ゲームクリエイター 女子:1位歌手・声優などの芸能人 2位漫画家・アニメーター (2017年ソニー生命保険調べ) |
小学校と中学校の違いをざっと挙げただけでも、これだけありました。
勉強に部活に時間がいくらあっても足りない状態で、更に思春期が重なって自分の思うようにいかない事が続くとイライラが募ります。
この小学生から中学生に上がる時のさまざまな変化を、ハードル(壁)に例えてみます。
小学生の場合ハードルは低く少ない
小学校で勉強する内容も、高学年になってくるとそれなりに難しくなってきます。
ただテスト自体が少なく内容も小テストみたいな感じですので、子供によっては真面目に勉強しなくてある程度の点数が取れてしまうのです。
勉強の内容が分からないままでも、本人にとって問題と感じる事がないのです。
そのテストでも結果に対して順位や偏差値は出ませんから、自分の立ち位置を気にする必要はほとんどないのです。
勉強で他人と比較する必要がありませんし、自分の好きな事を自分のペースでできるのが小学生なのです。
中学生になった途端、ハードルは増えて高くなる
中学生になったと同時に、勉強や部活といった様々なハードルと子供は向き合う事になります。
同級生の人数自体も中学生になると増えるのが一般的ですので、周りとのコミュニケーションも求められます。
小学校6年生まで自分のペースで出来ていた事が、急に覚える事やするべき事が次々と発生してきます。
それは子供の得意不得意関係なく発生しますので、時にはものすごく高い壁として立ちはだかる訳です。
しかも小学生のように出来なくても仕方ないという甘えは許されない周りの空気もあります。
中学生になったんだからそれぐらいできるよね?という周りからの要求です。
この要求は思春期真っただ中の子供にとってはすごくつらいです。
本当はいろいろやりたいけど上手くいかない、気分も乗らない・・・。
そして乗り越えようとするハードルを前に立ち尽くしてしまいます。
部活によるトラブルは思ったより多い
最近ではブラック部活という言葉が世間に浸透してきたように、体育会系の部活の問題点が次々と指摘されています。
指摘といっても、指導者から言わせれば昔から当たり前のようにやってきた方法が、現代では通用しなくなったというだけなんですが。
このブラック部活の根の深い問題点として、学校と顧問と保護者の3者が複雑に絡んでいる現状があります。
学校 | 試合に勝ち進んで、学校の名を広める事が部活の目的。勝利至上主義。部活内トラブルに積極的に関わったりする事は少ない。 |
顧問(教師) | ・競技経験のない教師が部活の顧問を担当している割合が約半数なのが現状 ・最近では部活の顧問を強制しない学校も出てきた ・部活の顧問がやりたくて教師になっている人も一定数居る、教師間の部活に対する意識の差がものすごくある ・顧問の指導法には基本絶対服従。従わない場合、試合に出られなかったり体罰を受ける事も |
保護者 | 幼少期から子供に競技経験をさせている場合、部活に対する熱の入れようが半端ない そういう一部の保護者の言いなりになっている部活動もある |
生徒 | 入部前に部活内の本当の実態を知る事は不可能。入部してから人間関係で悩む事も多い |
2019年時点で中2になる我が子の場合も、部活動でトラブルを抱えている内の一人です。
昨年は競技経験が無いにも関わらずあれこれ口を出してくる顧問で、部活内をまとめる事ができず1年で別の部活顧問に異動。
今年も競技経験が無い別の顧問が就任しましたが、一部の保護者の再三の要求により外部コーチ制度を採用する事に。
外部コーチは学校も検討中だったのでいずれ採用されたのでしょうが、一部の保護者の声があまりにも大きくなりすぎる現状なのです。
部活動の運営にも積極的に関わってくる保護者の存在の大きさを、現在痛烈に感じている所なのです。
そして結局振り回されるのは当事者である子供です。
部活動がこのような状態では、勉強面でも支障が出ないか親としてはハラハラしながら見守っている現状です。
中一ギャップは事前準備で対処する
このように中学校で起きるトラブルや問題の多くは、学校教育の構造的問題から発生するもので、明日にでも解決できるようなものではありません。
文科省の関係機関の見解を見ても期待するだけ時間の無駄という事もお分かり頂けると思います。
国に期待できないなら、親として家庭として前もって準備していきましょう!
その準備とは、ハードルを少なくする・低くする・そして助走するです。
ハードルを少なくして時間的余裕をつくる
中学生になると勉強のハードルが一気に上がるので、子供を塾に行かせる家庭も増えてきます。
例え一つ一つのハードルが乗り越えらえる子供でも、数が多くなりすぎると精神的余裕がどんどん無くなってきます。
この子供にとってやるべき事の数を、特に中学1年生の時は注意深く見守る事がポイントです。
不登校生徒数のグラフを見ても、中2から中3にかけては不登校生徒数の増加数は一気に下がります。
中1という子供にとって環境が激変する時期だからこそ、親としてはいろいろ口出ししたいのを我慢する事も必要だと思います。
ハードルを低くして子供の負担を減らす
中学校のテストでは、偏差値や順位という数字が常に付いて回ります。
前回より順位が上がったとか下がったなど、親子共々一喜一憂する事も多いでしょう。
ただ企業の業績同様、常に右肩上がりの成績はありえませんし、どこかで無理が生じます。
いつの間にか子供本人が相当負担に感じる程のハードルの高さになっていませんか?
ハードルの高さを決めるのは学校でも教師でもありません。
子ども本人が決めた目標を自分で乗り越えられる経験を積む事こそが大切だと思います。
そういう乗り越えた経験や場数をどれだけ積み上げられるかが、子供が前向きに意欲的に取り組む事ができる原動力になっていきます。
親としてはいろいろサポートしたいでしょうし、家庭の教育方針もさまざまでしょう。
時にはハードルの高さが今どれくらいなのか、それに対して子供はどう考えているのか、そういう親子の時間を作る事も大切だと思います。
小学校の時に準備して助走をする
中学生になった時に、ハードルの数や高さについていけなくなる子供は相当数居るでしょう。
かと言ってハードルの数や高さをゼロにする事は現実的ではありませんし、楽すぎる環境を用意する事が子供の成長にとって必ずしも良い事とは限りません。
ではパラグライダーの助走の如く、事前準備をする事で勢いをつけてみてはどうでしょうか?
ここでいう事前準備とは、中学生の勉強の先取りとか予習などという意味ではありません。
以前私立中学の担当教師の会合に参加した事があったのですが、その時にその方が言われていた事の一部です。
宿題や提出物を忘れがちな生徒は、そもそも遅刻したり言われた事を守れない生徒が多い
基本的な生活習慣が根付いている生徒程、成績が良く充実した学校生活である場合が多い
基本的な生活習慣とは、家庭での整理整頓や規則正しい起床や就寝などの生活リズム、バランスの良い食生活など