日本フランチャイズチェーン協会は1月20日、CVS統計年間動向(2019年1月~12月)を発表しました。
統計によると、コンビニ店舗数は5万5620店(前年比0.2%減)となり、2005年から現行の方式統計を開始して以来、初めて減少に転じました。
コンビニを巡っては、2018年に24時間営業を続けさせたい本部と時短営業をしたいオーナーとの問題がクローズアップされて以来、本部社員の無断発注や店舗従業員に対する残業手当の未払いなど、次々と問題が明らかになっています。
そんなコンビニの絶対的王者「セブンイレブン」では、来月の2月からついに24時間営業を辞める店が出てきます。
今まで24時間365日常に営業するのが当たり前だったコンビニにおいて、創業当時の朝7時から夜11時のような時短営業に戻る店が出るのです。
今回はコンビニにおけるさまざまな問題と、そのような現状に対して本部、特にトップはどのように考えているのかをご紹介したいと思います。
ポイントは3つです。
②セブンイレブンの強みだった「ドミナント戦略」。コンビニ全体が伸びている時は良かったが、今では店同士が潰しあって本部だけが儲かっている現実
③2月からの時短営業に関して、セブンイレブンの社長がコメントした内容がひどすぎる件
コンビニを巡るさまざまな問題とは?
コンビニに関する問題の数々
24時間営業を巡る問題 | 東大阪市で営業する加盟店オーナーが人手不足を理由に営業時間を2月から19時間に短縮したが、セブンは契約違反であるとしてオーナーと対立。 この一件をきっかけに、時短営業に向けての流れが一気に加速した |
食品ロスを巡る問題 | クリスマスケーキや恵方巻など、従業員に販売ノルマを半強制させていた実態と同時に、廃棄ロスの多さが社会問題になった。 大量廃棄問題で農水省が業界団体へ直々に要望した。 |
バイト従業員に対する様々な問題行為 | 人手不足の影響からか、バイト従業員に長時間仕事をさせたり、無理やりシフトに入れるなど。退職を願い出た従業員に対して、「代わりを探さないと辞めさせない」といった事例も数多く報告されている |
オーナーに無断で、本部社員が商品を発注する事が常態化 | 本部社員にはノルマが課せられ考課対象になっていたとのこと。セブンだけでなく、他社でも無断発注は常態化していた |
残業代の未払い問題 | 加盟店で働くアルバイトやパート従業員に対して、セブンが創業した1970年代から残業代の一部が支払われていなかった。 給与の計算や支払いは本部が代行しているが、この給与計算の過程において、本部が計算式を誤っていた。 |
商品の値引き販売が不可能 | スーパーマーケットでは、日持ちしにくい賞味期限の短い総菜類や弁当、サンドウィッチやパン類が「見切り販売」といって、値引きして販売。一方コンビニでは、日用品などは値下げ販売されたり寄付されたりするが、弁当やおにぎりなどは原則見切り販売されない。最近になって本部が廃棄代を一部負担する動きがようやく出てきた。 |
大きな問題をざっと挙げてみただけでも、これだけありました。
ここ数年でコンビニに対する世間の見方はガラリと変わっています。
最近の人手不足と賃金上昇により、以前と比較してコンビニ経営はますます苦しくなっています。
そういう社会背景から、時短営業をさせてほしいとオーナーからの切実な要望はあったのですが、売上が減ってしまう本部はその要望をほとんど無視していました。
今まではマスコミもコンビニに対する問題をほとんど取り上げる事はなかったのですが、2019年はあまりにもひどい実態が世間に次々と明るみになりました。
コンビニの王者セブンイレブンでさえ、当初は24時間営業にこだわっていましたが、2020年2月から132店舗で時短営業を開始します。
コンビニを巡る問題はあまりにも多いのが現状であり、短期間で解消できる問題ではないのです。
またこれらの問題に根本的にメスをいれてしまうと、コンビニのビジネスモデル自体が崩れる恐れがあり、それは本部の儲けがどんどん減っていく事を意味します。
そこまで覚悟して本部が改革する気があるのかどうかは、今の所分かりません!
ドミナント出店戦略こそ、本部だけが儲けて店は大損する仕組み
昔と比べて、異様に増えたコンビニ。
あるコンビニを別のコンビニ同士が挟み撃ちにして、更にそれを挟み撃ち・・・みたいなコンビニのオセロゲームのような場所も数多くあります。
こんなに沢山コンビニなんていらないんじゃ・・・と思っている方も多いと思います。
ある地域に集中的にコンビニ出店する戦略を「ドミナント戦略」といいます。
通常の地域だと、コンビニチェーンがバラバラに出店しています☟
これに対して、挟み撃ちにように集中的に出店するのが「ドミナント戦略」です☟
このドミナント戦略のメリットとして、商品の輸送が効率的になり、物流コストが削減されますし、特定の地域に対して販促を行えば良いので、宣伝販促費も削減することができます。
また、これだけ赤のコンビニが増えると別の色のコンビニは出店しずらくなり、地域内で赤のコンビニが圧倒的な地位を築くことができるのです。
図で言うと、近い内に青のコンビニはつぶれてしまうか、赤のコンビニに変わる可能性が高くなります。
しかしデメリットもあります。
これだけ赤のコンビニが増えると、赤のコンビニ本部は儲かるかもしれませんが、それぞれの赤の店のコンビニは共倒れになりかねません。
地域のトータルでの売り上げはあまり変わりませんので、赤のコンビニが増えれば増える程1店当たりの売り上げは下がってしまうからです。
最初は赤のコンビニが少なかったから儲かっていたけど、ドミナント戦略で赤のコンビニがどんどん増えていくにつれて、売り上げが下がってしまった・・。
これでは店毎のオーナーが怒るのも無理はありませんよね!
更に最近ではドラッグストアなど、コンビニ以外の出店で売り上げが下がるケースが増えてきています。
コンビニと比較して、ドラッグストアでは食料品やお菓子などを安く売っている事が多いので、コンビニの販売価格では太刀打ちできないのです。
30年前の思い出話を真面目に語っているセブン社長・・・
コンビニを取り巻く環境が、かなり厳しいとお分かり頂けたと思います。
ではこの現状を、コンビニの王者セブンイレブンの社長はどう考えているのでしょうか。
現在セブンイレブンでは、これまでの直営店での営業時間短縮実験で、売上高が平均で10%程度落ちているそうです。そのため、時短営業を希望する加盟店には、まず3カ月実験を実施、初回で効果が判定できない場合は、さらに3カ月実験し、合計6カ月の実験期間を経て、非24時間営業にするかを決定しているそうです。
つまりオーナー側から時短営業の要望を出してもそのまま通るという事はなく、テストによる効果確認で決定するそうです。
ただ時短営業をすれば売り上げが落ちるのは当然なのですよ(笑)
オーナー側は人手不足に苦しんでいる訳ですから、売上よりも利益の方もしっかり本部に見て欲しいのが本音じゃないでしょうかね。
深夜に饅頭1個だけ売れても本来なら人件費を考えたら大損なのですが、その人件費を払っているのはオーナーであって本部ではありません。
本部側から言うと、饅頭1個売れただけでも嬉しいのです(笑)
そういう本部が主導するテストなのですから、もうちょっと公平な仕組みづくりを考えてほしいものです。
更にセブンイレブン社長のコメントが続きます。
いや~、30年以上前の昔話を大真面目に語っておられますね(笑)
30年前と今とでは何もかも違う条件だと思うのですが、セブンイレブンの社長は30年前の出来事は今でも通じると感じているそうですよ。
なんか全国のオーナーのため息が聞こえるのは私だけでしょうかね・・・。
コンビニの問題に関しては、今後も定期的にブログで書きたいと思います。
どうもありがとうございました。