四国巡礼をはじめる上で、一番最初に訪れるのがこの1番札所の霊山寺(りょうぜんじ)です☟
四国八十八ヶ所霊場の全行程は約1460kmと、全てを徒歩で巡礼した場合おおよそ40日~50日程かかります。
車で巡礼しても約8日間ぐらいはかかるのが一般的なようです。
その四国遍路のスタートであり、第一歩を踏み出す地がこの霊山寺なのです。
発願の寺である霊山寺に今回行ってきましたので、その様子をご紹介します。
四国遍路に興味がある方、四国霊場に行ってみようと思っている方の参考になれば幸いです。
霊山寺は初遍路の人でも親切丁寧に対応してくれる売店がある
霊山寺DATA
住所 | 徳島県鳴門市大麻町板東塚鼻126 |
電話番号 | 088-689-1111 |
第2番札所「極楽寺」までの距離 | 約1.4km |
駐車場 | 普通車100台有り(無料) |
訪問日 | 2019年10月中旬、14:00頃 |
この霊山寺は、もともと聖武天皇の祈願所で行基が開いたとされています。
その後815年に弘法大師が人々の幸せを願って、八十八の煩悩消滅の為に四国霊場開設を思い立ったと言われています。
そして21日間の修法中に見た光景が、釈迦如来がインドの霊鷲山で説法されていた様子にあまりにも似ていたことから、インド(天竺)の霊山を日本に移すという意味から「霊山寺」の名をつけました。
ちなみに四国遍路の八十八カ寺は四国の全域にありますが、この1番札所「霊山寺」から3番札所「金泉寺」までは距離にして約4kmとかなり近い距離です。
標高差もほとんどないので、歩き遍路初心者の方にとっては体慣らしに最適なコースなのです。
徳島県にある霊場は他の3県と比較すると狭い範囲での移動となりますので、歩き遍路でも数日で巡礼する事が可能です。
高知県と愛媛県の場合、各霊場がかなり離れている事も多くて更に山の奥深い所にある霊場もあります。
四国霊場は国別に四つの道場に見立てられています。
阿波(徳島県)…23か所 | 発心の道場 | 求道心を起こし、いかなる困難にも負けない心を得る場所 |
土佐(高知県)…16か所 | 修行の道場 | 弘法大師が室戸岬などで修行をしたのにちなんで、修行を実践する場所 |
伊予(愛媛)…26か所 | 菩提の道場 | 煩悩を断ち切り、迷いから目覚める場所 |
讃岐(香川)…23か所 | 涅槃の道場 | 煩悩や迷いが消し去り、悟りの境地を得る場所 |
徳島県が初心者向けのイージーエリアとすると、高知県はいきなりハードエリアになります。
そのハードエリアに備える為にも、この1番札所「霊山寺」で万全の準備をしておきましょう!
霊山寺へ実際行ってみた
では1番札所「霊山寺」へさっそく行ってみましょう。
普通車100台分の大駐車場(無料)がすぐ近くに完備されていますので、車で行く方も安心ですよ☟
この「霊山寺」は1番札所という事もあり、これから四国お遍路をスタートする方が多く見受けられます。
そんな初心者の方の不安の一つが、何を買って準備しておけばいいのかという事です。
そんな初心者の方でも安心して四国遍路に向かう事ができるように、品ぞろえが豊富な遍路用品店があります☟
他の霊場ではこれほど遍路用品が揃っているお店はありませんので、これから四国遍路を予定している方はこのお店が最適ですね。
スタッフの方も常駐していて、いろいろ話を聞いたりお参りの作法などを教えてもらう事もできるようです。
ここで用具を揃えて身づくろいすれば、身も心もお遍路さんです。
そしてさっそく1番札所「霊山寺」に向かいましょう!
この仁王門をくぐれば、いよいよ1460kmに及ぶ四国遍路旅のスタートです。
仁王門の先には、正面奥に本堂が見えて右手には大きな鯉が泳ぐ泉水池があります☟
数ある四国霊場ですが、池と塔(多宝塔)があるとやはり見ごたえがありますね。
ちなみにこの多宝塔ですが、応永年間(1394~1428)に建立されたもので600年近い歴史があります。
下層が方形、上層が円形の造りで五智如来が祀られています☟
仁王門を入ってすぐ左手には、縁結び観音が有ります☟
男女の縁だけでなく、健康との縁・幸せの縁・仕事との縁など様々な縁結びにご利益があるとされています。
お賽銭を入れて願い事を唱えるのもよし、水でお清めしながら真摯に祈って功徳を得るのもよし、多くの人から信仰を集めている観音様です。
初七日から三十三回忌まで13回の追善供養仏事に配した仏と菩薩にちなんで、十三仏と呼ばれています。
その十三仏の中でも、ひときわ目立っているのがこの「不動明王」です☟
とても恐ろしい顔の不動明王ですが、煩悩を打ち砕いてくれるありがたい明王様なのです。
本堂向かって右手には大師堂があります☟
この大師堂では、遍路の心得を指導してくれる受戒を実施しているようです。
これから四国遍路にチャレンジする方はぜひ参加されてはいかがでしょうか。
本堂の天井には龍と宇宙を描いた天井画も見ごたえがありますので、ぜひ見てみて下さいね。
本尊は釈迦如来で、弘法大師の作といわれています。
霊山寺は四国霊場1番札所ということもあって、いつも多くの人で賑わっています。
四国遍路に興味がある方はもちろん、そうでない方も一度霊山寺に足を運んでみてはいかがでしょうか。
なお、この1番札所「霊山寺」から最も遠い札所が、愛媛県の40番札所「観自在寺」です。
1番札所から最も離れているので、四国霊場の裏関所と呼ばれています。
そんな「観自在寺」にも巡礼してきましたので、こちらもぜひどうぞ☟
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四国遍路豆知識…金剛杖
四国遍路に向かう上で欠かす事ができないものの一つに、金剛杖があります☟
四国遍路では弘法大師の分身とされ、遍路道中もっとも丁重に扱われます。
札所では自分より先に杖を休ませます(杖を置いておく場所が札所ごとにあります)。
また宿に入る時もまず杖の先を洗い、丁寧に拭いて床の間に立てて合掌を行います。
そんな金剛杖ですが杖の本体は卒塔婆を表しており、順拝の途中で倒れた場合杖がそのまま墓標となります☟
金剛杖が墓標となるのもすごい話ですよね。
現在の遍路旅では突拍子もない話のように聞こえますが、昔の遍路旅はそれこそ命がけの順拝だったはずです。
旅の途中で命を落としてしまうお遍路さんが珍しくなかった時代ならではの話なのでしょう。
ただ、そんな命がけの四国お遍路に向かう人が昔から絶えなかったのも事実です。
そこまでの苦痛や苦労をしてまでなぜ四国遍路旅をするのか・・・。
その答えを探すのが、まさしく遍路旅なのかもしれませんね。
ちょっと寄り道…鳴門市ドイツ館
鳴門市大麻町(当時の板野郡板東町)には、1917年から1920年の3年間に第一次世界大戦時に日本軍の捕虜となったドイツ兵を収容した「板東俘虜収容所」がありました。
収容所の職員は、ドイツ兵の人権を尊重して出来るだけ自主的な生活ができるようにしていたそうです。
そのような生活の中で、ドイツ兵と地域と住民との間で少しずつ交流する機会が増えていきました。
中でも盛んだった音楽活動において、ベートーヴェンの「交響曲第九番」をアジアで初めてコンサートとして全楽章演奏した地こそが、この鳴門市ドイツ館がある場所になります。
このドイツ館は、当時の収容所の様子やドイツ兵の活動の様子などを展示している史料館になります。
第九初演のエピソードが映像とロボットで語られる「第九シアター」が見所のようです。
私は時間の都合上史料館には行きませんでしたが、道の駅もすぐ隣にありますので、お土産や地元特産の「なると金時」などを購入する事ができます。
興味のある方はぜひ!
私が過去に参拝した四国八十八カ寺をブログにてご紹介していますので、ぜひこちらもどうぞ
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